クーラウ度診断(十段-8の正解、十段-9の設問)
第98問 正解です、おめでとうございます。
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●ミンナ・ベッカー(歌手)Minna Becker はハンブルクで活躍していたソプラノ歌手です。クーラウは1816年初め、オペラ『盗賊の城』上演のためハンブルクに旅行しました。3月6日ハンブルクのアポロ・ザールでクーラウが行った演奏会で彼女は歌っています。ハンブルクでは『盗賊の城』はクーラウの指揮のもと満員の内に4回上演され、この時にアデライーデ役で彼女が出演しました。『盗賊の城』には彼女のために新たに書かれたアリアがあります。その後4月16日に、彼女はコペンハーゲンに来て数回の演奏会を行っています。恐らくクーラウの勧誘に依るものとブスク氏は推測しています。数日後にクーラウもコペンハーゲンに戻ってきました。6月17日の演奏会のためクーラウは彼女のために『タルタルスのユーリディーチェ』を作曲しています。この曲から推測すると彼女は卓越したテクニックを持っていたことが分かります。現在の歌い手でこの曲を演奏できるソプラノ歌手は先ずいないでしょう。トーケ・ルン・クリスチャンセン氏は彼女をクーラウの恋人の一人と推測しています。
●アデライーデ・ブルーン(ブルン家の令嬢)(1792〜1857)Adelaide Brunは富裕な商人コンスタンティン・ブルンの娘です。彼女とはクーラウがデンマークにやって来た初期にブルン家の客人としてリュンビュウの近郊のソフィエンホルムという別邸にしばしば訪問していたときに顔を合わせています。アデライーデはイダと言う愛称で呼ばれていました。歌や踊りの才能に恵まれ、後に彼女のマイムは有名になりました。クーラウは彼女のために作品9の6曲のカンツォーネを作曲し献呈しました。
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○エリーサベト・ムンク(貴族の養女)Elisabeth Munkは『妖精の丘』の中の一人の役柄です。貴族 ヴァルケンドーフはある時クリスチャン4世から探検家ムンクの遺児を授かります。その子が幼いときに神隠しに遭い行方知らずになった時に親戚の娘を身代わりにエリサベートと偽り育てます。さらわれた子はどうなったか?はIFKS叢書『妖精の丘』をお読みください。この物語の最後のどんでん返しは面白いですよ。物語の中の女性ですからクーラウが関係を持った事が無いのは当然です。
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●カロリーネ(皇女) Kronprinzessin Caroline(1795〜1881) クーラウは彼女にレッスンをしています。作品75、76,77の3曲のピアノ連弾曲は彼女に献呈されています。
●ルイーセ・ハイベア(女優)Luise Heiberg(1812〜1890)は女優、後にHeibergハイベア(『妖精の丘』の作者)と結婚しました。『妖精の丘』の初演のアグネーテ役を彼女が演じました。彼女が16歳の時です。
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第99問
クーラウは「謎のカノン」の作曲家として有名でした。べートーヴェンと初めて会った時に彼は「やあ、カノン作曲家さん!」とクーラウに呼びかけたほどです。カノンは対位法の一つの形態です。クーラウの作品に対位法の手法を用いているものが沢山あります。5曲中1曲だけ対位法に関係ないものがあります。どれでしょう?