2つのCD

最近のクーラウ作品の2つのCDのお知らせです。


最初に
Andràs Adorjàn (アンドラシュ・アドリアン)氏の会心の録音です。『デンマーク、デンマーク!』 とタイトルにあるようにデンマークに関係する作品を集めています。
1. Friedrich Daniel Kuhlau Op.33 (original pour violon, arr. P. H. Camus)
2. Anton Bernhard Fürstenau "Les Adieux à la Scandinavie" Variations sur u thème d'Elverhøj de Kuhlau
3. Asger Lund CHristiansen "Sonate Op.11b"
4. Christoph Ernst Weyse "Rondeau"
5. Carl August Nielsen "Sonate nr.1 Op.9" en la majeur (original pour violon, arr. A. Adorjàn)
6. Louis Drouët "Danmark, Danmark!" Variations sur air national danois Op.131

Flute : Andràs Adorjàn
Piano : Tove Lønskov

 


 1曲目はクーラウのヴァイオリンソナタ作品33(原曲:ヘ短調)を当時のフランスのフルーティスト 、イポリート・カミユが編曲(ト短調)したものです。 この楽譜はIFKSからも出版していましたが、外国で入手が難しいこともあり、Svitzer社から新しく出版されました。

 2曲目はA. B. フュルステナウの『妖精の丘』から、ご存じ「海の底深く」(Neckens Polska)の主題によるフルートとピアノの作品です。このメロディはクーラウも自身の作品102のFlute Duo で変奏曲を書いているものです。

 3曲目はチェリスト兼作曲家のアスアー・ルン・クリスチャンセンのフルートとピアノのソナタ(オリジナルはヴァイオリン・ソナタ)で自ら編曲してジャン・ピエール・ランパルに献呈されたものです。

 4曲目はクーラウと同時代にデンマークで活躍した作曲家、ワイセのフルートとピアノのためのロンドです。フルート作品では唯一のものです。現在ワイセの歌曲作品は今日デンマーク人に愛好されているということです。

 5曲目はオリジナルはヴァイオリン・ソナタです。アドリアン氏の編曲によりすばらしい作品としてフルートのレパートリーになりました。氏の情熱的な演奏は見事です。

 6曲目はワイセの主題が使われています。このメロディは「デンマーク、デンマーク、その聖なる響き」という当時の懸賞募集により入賞した歌詞にワイセが依頼されて作曲したものです。このメロディにドゥローエがフルートとピアノのために変奏したものです。このメロディは当時非常にもてはやされてクーラウもピアノ・変奏曲Op.35の主題に、さらにピアノ・ロンド曲「コペンハーゲンの魅力」Op.92の中にも用いています。

アドリアン氏の演奏は緻密、誠実、情熱にあふれ是非皆様にもお薦めしたいものです。なお、アドリアン氏はクーラウ協会の会員です。


 次はもう一つのクーラウ作品のCDの紹介です。

Kuhlau's work, op.51 for Flute, Violon, 2 VIolas, Cello.
Flute : Ginevra Petrucci
Strings : Kodály Quartet

Ginevra Petrucci

 

 


 女性フルーティスト、ジネヴラ・ペトルッチさんが最近リリースしたものです。クーラウの「3曲のフルート・クインテット Op.51 」です。クーラウの弦楽器とフルートの組み合わせはこの曲しかありません。それぞれ4楽章の構成で大曲です。フルーティストのレパートリーの中で初期ロマンは時代の室内楽作品として特に優れたものと見なされます。
 ペトルッチさんの演奏は確実なテクニックですばらしいアンサンブル(コダイ弦楽四重奏団)を聴かせてくれます。なお最近、彼女もクーラウ協会の会員となりました。しばしば来日されていますので、いずれ生演奏を聴けることになるはずです。


2014年2月10日(石原利矩・記)