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オペラ『魔法の竪琴』演奏会形式に至る道(1)

2007年10月7日(第一生命ホール)


石原 利矩:記

●発端
 そもそも『魔法の竪琴』は第3回クーラウ詣りツアー(2005年9月17日〜25日)がきっかけを作りました。この旅行の目的は1825年9月2日のベートーヴェンとクーラウが会見したウィーン近郊のバーデン散策でその追体験をすること、デンマークのフースム教会でクーラウの作品を中心とした演奏会をすること(日本、EU交流年行事に認定)の2つがテーマとなっていました。デンマークを旅立つ前日にブスク氏からクーラウの自筆譜・オペラ『魔法の竪琴』のコピーとブスク氏が編曲した『魔法の竪琴』のヴォーカルスコアをお借りしました。IFKSで『魔法の竪琴』の出版をしようと考えたからです。約1年かかり翌年の8月(2006年)に出版にこぎ着けました。と同時にバゲセンの台本も福井信子訳で進め11月には出版できました。

 この過程で『魔法の竪琴』の内容、音楽には素晴らしいものがあることを発見し、5月頃には是非この音楽を世の中に知らしめなければならないと考えるようになりました。この頃すでにオペラ『ルル』3個所同時公演のプロジェクトを進めていましたので『魔法の竪琴』演奏会形式のプロジェクトは同時進行で始まりました。ヴォーカルスコアの草稿がほぼ完了した6月にすぐさま始動しました。


 

●キャスティング
 まずキャスティングです。パンフィルス役には『ルル』の中で印象深い「ない、ない、ない」のアリアを歌ってくれた久岡昇さんが真っ先に思い浮かびました。パンフィルスにも同様の「ない、ない、ない」アリアがあったのです(Nr.12)。ヴォーカルスコアの歌詞に日本語を当ててくださった大河原晶子さんもこのアリアは久岡さんが歌うことを想定して考えたそうです。テルパンダーは鈴木准さんに歌っていただこうと思いました。それは以前他の演奏会で聴いた彼の甘い声がテルパンデルのイメージと重なったからです。同時期にディオネ役で歌っていただいた岸七美子さんの演奏会が行われた機会にその歌唱に接してこの人ならディオネ役を歌ってもらえる確信しました。以上の三人には出演のOKをいただくことができました。こうしてだんだんに配役が固まっていきました。
 

●オーケストラ
 次にオーケストラの問題がありました。オーケストラはプロを使えば簡単です。とにかくオペラの行程でオーケストラにかける時間が一番少ないものですから。しかし、予算の問題が大きく立ちはだかっていました。進めていた『ルル』の再々演には莫大な経費がかかります。決して『魔法の竪琴』で赤字は許されませんでした。そこでIFKSの理事が所属しているアマチュアの団体に声をかけました。しかし、こんな大規模なオペラを手がけたら通常の彼らの年2回の定期演奏会が出来なくなります。そんなことでその団体の通常の練習日以外に出演できる人と他のアマチュア団体の混成メンバーによるオーケストラが出来上がりました。名称はトリトン・アンサンブルと名付けました。『魔法の竪琴』の舞台はギリシャのエーゲ海です。ギリシャ神話の海に関係する名前で「トリトン」が思いつきました。これは会場になった第一生命ホールの所在する近辺のエリアの名称と偶然一致したのです。なにかいちゃもんがついたら困るなあと思いましたが特に名称の問題は起きませんでした。2007年の1月から毎月第3日曜日の練習というスケジュールでオーケストラの練習日程が決まりました。それに間に合わせるためにオーケストラパート譜の作成に追われる日々が続きました。1月21日の最初の練習にかろうじて間に合いました。

●バレエの振り付け
 オペラ『魔法の竪琴』は二幕物ですがそれぞれの幕の最後にバレエが付けられています。今回は演奏会形式です。バレエをどのように扱うかは問題となりました。当時のオペラはバレエが挿入されているものが沢山あります。これはオペラの物語とは関係なく単にバレエ(踊り)を演じて観客を楽しませる、いわば付録です。特にフランスのオペラに多く行われたことです。『魔法の竪琴』も同様な構成になっています。そこで今回、振り付けの伊藤多恵さんに相談して考えていただきました。とても難題でした。予算はあまりありません。バレエは2人で踊っていただくという枠の中で伊藤さんはずいぶん苦労されたことと思います。

●スタッフ・キャスト
 
こうして最終的に次のような方々が揃いました。
音楽監督:ゴルム・ブスク
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テルパンデル:鈴木 准
ディオネ:岸 七美子
ミュリス:鵜木 絵里
スコパス:若林 勉
パンフィルス:久岡 昇
王様:黒木 純
海賊の首領:高田 正人
オルフェウス:山下 淳
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ナレーション:石鍋 多加史
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オーケストラ:トリトン・アンサンブル
ハープ:井上 久美子
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
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振り付け:伊藤 多恵
バレエ:上島 里江(谷桃子バレエ団)
バレエ:川瀬 美和(谷桃子バレエ団)
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指揮:石原 利矩
副指揮:富平 恭平
・・・・・
コレペティートル:服部 容子、柴田 菊子、
塩入 加奈子
ナレーション構成:大河原 晶子
台本翻訳;福井 信子

稽古開始
 ソリストのマルバツ表を集計してみると全員が集まることができる日が非常に少ないことが判明しました。早い時期に顔合わせをする予定でしたが結局9月29日となりました。それまでは個々に稽古を重ねる事になりました。
 6月〜ソリスト個人稽古開始となり、ディオネ役の岸七美子さんが最初の稽古に現れました。彼女の歌唱力は私はすでに他の演奏会で聴いています。この人ならディオネ役を充分に表現できる事と確信していました。高音域もさることながら低音域がとても美しい響きを持っていました。ディオネの声域はメゾソプラノです。コーラスと一緒に歌う場合はアルトに組み入れられています。今回はナレーションによって音楽が途切れます。ディオネのアリアにはナレーションの後に歌から入る個所があります。絶対音感がない歌手はそのようなときに大変苦労します。しかし、岸さんはなんの苦労もなく歌ってくれたのでホッとしました。


ディオネ:岸七美子さん

 以下は別の日のミュリス、ディオネの稽古の後のスナップ
コレペティ・柴田菊子さん、鵜木絵里さん、岸七美子さん


記者会見
 
7月17日に記者会見を行いました。その時の模様は下のURLでご覧下さい。

2007年7月17日(銀座三笠会館2階・榛名)

記者会見に臨んだ出演者/関係者

岸 七美子
鈴木 准

久岡 昇
福井 信子
石原 利矩

記者会見の模様はここをクリック


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